上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)とは、口や鼻から柔らかいチューブのようなカメラを挿入し、食道、胃、十二指腸の粘膜表面を、明るい光源で照らしながら観察する検査です。カメラの先端を、粘膜ぎりぎりまで近づけて観察できますので、詳しい情報を得ることができます。特に、胃潰瘍や、胃炎といった良性疾患だけでなく、早期の胃がんなどについても発見することが可能です。
そんな優れた検査ではありますが、苦しい思いをされる方も多く「二度と検査を受けたくない!」という声が多い検査でもあります。一度辛い思いをしてしまうと、何か症状があってもその経験がトラウマになって受診自体を避けてしまうことになりかねません。
当院では痛みや負担の少ない「苦痛の少ない内視鏡検査」を提供することで、検査に対する恐怖心や苦手意識を軽減し検査を受けていただくことで病気の早期発見・治療をめざしています。
当院の胃カメラの特徴
1,鎮静剤を使っての検査が可能
鎮静剤とは、興奮を鎮めたり大脳皮質中枢の異常を抑制したり、不安や不眠を鎮める作用がある薬剤のことです。
以前に胃カメラを受けた際につらい思いをした方、嘔吐反射が強く「オエッ」っとなりやすい方、胃カメラに対する不安や恐怖心が強い方には鎮静剤を使用することで、喉から内視鏡を挿入する際の苦痛を軽減出来たり、不安や恐怖といった精神的苦痛を軽減する作用が期待できます。
鎮静剤といっても効果には個人差があるので、完全に眠ってしまう方・ウトウトする程度の方・期待する効果が得られない方などいらっしゃいますが、使用することで楽に検査が出来たと言っていただいています。
鎮静剤を使用した場合は、検査後30分~1時間程度ゆっくり休んでからお帰りいただきます。
また、お車・バイクの運転は危険ですので検査当日は運転をお控え頂いております。
2,経鼻内視鏡もお選びいただけます
最近では鼻からの胃カメラを希望される方も増加しています。
経鼻内視鏡は、従来の胃カメラ(経口内視鏡)と比べるとカメラの太さが5.9mmと細く、柔らかいためにのどの違和感が非常に少なく、のどの奥の舌根部(触れるとオエッとなる部分)に触れにくいことから楽に検査が出来ると言われています。
検査中は医師との会話も可能で、鎮静剤を使用しないため検査後はすぐに帰宅できるというメリットもあります。
しかし、鼻腔が狭い方の場合には痛みが出たり、検査後に鼻血が出る、カメラが入らずに検査が出来ないということもあります。もし鼻からの検査が物理的に難しい場合には口からの検査に変更になります。
3,NBI(Narrow Band Imaging:狭帯域光観察)の併用
NBIとは、血液中のヘモグロビンに吸収されやすい紫と緑の2つの特殊な光を照らすことで、粘膜表層の毛細血管やそのパターンなどが強調して鮮明に表示される観察技術のことをいいます。これにより、通常光による観察では見えづらかったがんなどの病変の早期発見に貢献できることが期待されています。
検査の流れ
1,受付
検査の注意事項等の説明、患者様の症状や全身状態を把握させていただくために、まず初めに内科・消化器内科の受診をお願いしています。
受診時にご都合の良い日程をご相談し、内視鏡検査のお日にちを決めます。
また、全身状態の把握や感染症の有無を確認するために血液検査を行っています。
2,検査前日
お食事は夜8時までに済ませてください。
水分は就寝前まで普段通りにお取りいただいて構いません。ただし、検査前日のアルコールはおやめください。
3,検査当日
朝食は摂らずにご来院ください。コップ1~2杯程度のお茶やお水は飲んでいただいて構いません。
保険証・診察券・検査同意書をお持ちのうえ、楽な服装でお越しください。
※鎮静剤の使用をご希望された方はバイクやお車でのご来院はお控えください。
4,ご来院~前処置
ご指定の時間にご来院いただき受付をして下さい。
保険証・診察券・検査同意書を忘れずにお持ちください。
受付後、自動血圧計にて血圧を測ってお待ちいただきます。
時間になりましたら前室にて、消泡剤の内服と鼻腔または喉どちらかの表面麻酔(3~5分程度)をします。
5,胃カメラ検査
口または鼻から胃カメラを挿入して検査をします。
鎮静剤を使用する場合は、検査直前に医師が静脈注射をします。
検査の所要時間は、おおよそ5~8分程度です。
6,検査終了後
鎮静剤を使用した方は、車いすにて2階の回復室に移動し休んでいただきます。
平均30分~1時間程度ですが、体調が回復するまでゆっくりと休んでいただけます。
帰宅できる状態になりましたら1階受付にお声掛けください。
検査結果は1週間程度しましたらご来院いただき、医師より説明をお受けください。
検査費用
1割負担 | 2割負担 | 3割負担 | |
胃カメラ(観察のみ) | 1,600円 | 3,200円 | 4,800円 |
胃カメラ+生検+病理(1臓器) | 2,900円 | 5,800円 | 8,700円 |
お支払方法
現金、カード決済、QR決済でのお支払いが可能です。
よくある質問
Q その日にすぐに検査してもらえますか?
検査は予約制です。
事前にご来院いただき予約をお取りください。
Q 鼻からと口からの検査はどのように選べばいい?
胃カメラの嫌なところは「オエッ」となる嘔吐反射だと思います。
鼻からの検査(経鼻)の場合は、のどの奥の舌根部(触れるとオエッとなる部分)に触れにくいので喉への刺激も少ないので鎮静剤は使用しません。なので、検査後はすぐにお帰りいただけます。ただ、患者様によっては眠っている間に検査をしてほしいという方もいらっしゃいます。その場合は口からの検査(経口)での検査をお選びください。
経鼻内視鏡は経口内視鏡に比べて画質がやや劣ると言われますが、それほど大きな遜色はありません。
Q 寝ている間に検査できますか?
鎮静剤を使用して検査をした場合、寝ている間に検査が終わっている方もいらっしゃいます。しかし、薬の効き方は人によって異なるため、残念ながら皆さんが同じ効果を得られるとは言えません。「じゃあ、寝るまで薬を増やして」と思われるかもしれませんが、薬には適切な使用量がありますのでそれを超えて使用するといったことはしておりません。しかし、鎮静剤を使用することによって外部からの刺激に対して鈍くなるため、たとえ意識がある状態であったとしても使用しないことに比べると楽に検査ができますのでご安心ください。
Q 妊娠中・授乳中の検査はできますか?
妊娠中の方の検査は行っておりません。
授乳中の検査は可能ですが、使用する薬剤によっては一時的に断乳していただくことがあります。詳しくは受診の際に医師にご相談ください。
Q 検査前日にアルコールは飲めますか?
検査前日のアルコールは控えてください。
Q 前日の食事で注意することはありますか?
夕飯は夜8時までに済ませてください。お水やお茶といった水分は就寝時まで摂っていただけます。
食事内容に制限はありませんので、普段通りの食事を摂っていただいて構いません。
うどんなどの消化の良い食事内容にする必要はありませんし、食べてはいけないものもありません。明らかに消化の悪いものはおやめください。
Q 検査には車で行っても大丈夫ですか?
鎮静剤の使用を希望された方は、お車やバイク、自転車などご自身での運転でのご来院はおやめください。
Q 検査の後、食事を含め生活に制限はありますか?
喉の麻酔が切れるまで、検査後30分~1時間程度は水分やお食事はおやめください。組織の検査(生検)をした方は、刺激物(辛いもの)やアルコールの摂取・激しい運動などの血流の良くなるようなことは1日おやめください。
基本的に検査後の生活に制限はありませんが、鎮静剤を使用した場合、足元にふらつきが残ったり意識が朦朧とする状態が続くことがありますので検査当日は無理な予定は入れないこと、車の運転を控えることをお勧めします。